相続税申告時の単元未満株の発見方法

本日、テレビで、双子・三つ子をお持ちの親御様の多くが「育児にお悩みになる傾向が強い」というニュースが流れていました。

我が家の乳児も、入退院を繰り返し、さらには、入院時についてしまった抱っこ癖のせいで、夜泣きに悩む日々でした。

この頃は、だいぶん良くなってきました。

 

最近は、逆転の発想で、抱っこ癖のついた子供を連れて仕事に行ってみてはどうか?!

と思い立ち、連れて出られる場合には、あえて子供を連れて行くようにしてみました。

特に、行政の皆様は、本当にご理解があり、例外なく優しく迎え入れてくださいます。

(本当にありがとうございます。)

ぎすぎすした折衝ごとも、お互いに子供の顔を見れば和むという側面もあるのかもしれません。

 

子供と一緒に仕事ができる時代がくれば、ベストですね。

 

さて、本題です。

 

質問

税務署公表の相続税の申告チェックリストには、「端株・単元未満株がないか検証したか?」というチェック項目があります。

どのように調査をすれば、端株・単元未満株の存在は分かりますか?

 

回答

相続税の申告を適切に行うという主旨でのご質問ですが、「相続人の方に、被相続人の全ての財産に気づいていただく」という意味でも重要な質問だと思います。

もし、端株・単元未満株がみつかれば、たとえ、数万円程度の価値しかなくともうれしいですよね。

 

そもそも単元未満株とは、

議決権を有するための株式数に満たない株式を言います。

例えば、「100株で1個の議決権を有する」と定款で定められている会社の場合、100個未満の株式数の部分を単元未満株と言います。

単元未満株は、証券会社が預かることができませんので、株主名簿管理人である信託銀行が「特別口座」をつくって、預かっています。

この預かりは、所有者が能動的に行うのではなく、信託銀行により勝手に行われています。

なので、単元未満株を持っているか否かは、所有者自身も気づきにくいのです。

 

(そもそも、単元未満株が生じる要因も能動的なものではなく、受動的なものが多いです。例えば、株式の分割や割り当て等が考えられます。いずれも、会社の都合で行われるものです。積極的に単元未満株を購入するということはあまりないと思います。)

 

 

さて、こんな単元未満株ですが、発見するにはいくつか方法があります。

 

①配当金計算書を見る。単元未満部分に関する配当が表示されていないかチェックする。

→配当金計算書を破棄している場合には、株主名簿管理人である信託銀行に電話して「配当の支払証明書」を再発行してもらう。

→株主名簿管理人である信託銀行は、会社四季報をみると分かります。四季報で、株主名簿管理人を調べた上で、次のサイトへアクセスしてください。

 

三菱UFJ https://www.tr.mufg.jp/daikou/

三井住友 http://smth.jp/stock/jimu/

東京証券代行 http://www.tosyodai.co.jp/holder/index.html

みずほ http://www.mizuho-tb.co.jp/daikou/

日本証券代行 http://www.jsa-hp.co.jp/name/procedure/index.html

アイアールジャパン https://www.irjapan.net/service/transfer_agent/

→専門家による代理の依頼でも、快く証明書の発行に応じてくれます。

★未収配当金のチェックにもつながります。結果的に、2つの論点を一回で解決できるかもしれません。

 

②ありとあらゆる信託銀行の証券代行部(6社)に残高証明書の発行を依頼する。

→時間があればできますが、パワープレーすぎますのでお勧めはできません。

→パワープレーされる方は、このサイトへ!

 

三菱UFJ https://www.tr.mufg.jp/daikou/

三井住友 http://smth.jp/stock/jimu/

東京証券代行 http://www.tosyodai.co.jp/holder/index.html

みずほ http://www.mizuho-tb.co.jp/daikou/

日本証券代行 http://www.jsa-hp.co.jp/name/procedure/index.html

アイアールジャパン https://www.irjapan.net/service/transfer_agent/

 

③特定口座の年間取引報告書を取り寄せて、株式配当が特定口座に入金されているか否か確認する。

→入金されていなければ、株式数比例配分方式が採用できていない可能性が高いですので、端株・単元未満株の存在が疑われます。その後、②OR④OR⑤へ進むと良いでしょう。

 

④ほふりに照会する(証券会社を通じて照会する)

→株式数比例配分方式を選択できない原因となっている特別口座等の開設先を確認したい場合

https://www.jasdec.com/system/less/certificate/kaiji/toritsugi/index.html

→ほふりに依頼し、特別口座の存在する信託銀行を特定し、残高証明を取得します。

 

⑤ほふりに照会する(ほふりに直接、開設済みの証券口座を確認する。)

→ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合

https://www.jasdec.com/system/less/certificate/kaiji/chokusetu/index.html

→ほふりに依頼し、特別口座の存在する信託銀行を特定し、残高証明を取得します。

 

(時間がたくさんある場合には・・・・)

⑥通帳の調査を行う。次回の配当を受け取る時点まで、配当金計算書を待つ。

→通帳に、ある日突然、配当金らしき金額が振り込まれることがあります。

それまで待つという考え方もあります。

半年に1回、もしくは1年に1回は配当があると思いますので、相続税申告前までに見つかる可能性はあります。

さらに言えば、半年に1回、配当金計算書が届くという前提であれば、相続前後の配当金計算書が捨てられていても気にする必要はありません。次の配当金計算書を待つという手段もあります。

 

私のお勧めは、

⑤ほふりに開設済みの証券口座を照会し、

②照会の結果、特別口座が存在すると判明した場合は、特別口座が存在する信託銀行にだけ残高証明書の発行を依頼する

です。

 

開設済みの証券口座を全て把握しておくことは、証券口座自体の把握漏れ防止にもつながり、ベストではないかと思います。

 

~本日の結論~

ほふりに頼りましょう。

単元未満株なんてないない・・・と思っていたら、案外ぽろっと出てくることがあります。

 

執筆 公認会計士・米国公認会計士・税理士 金田充弘