信託の計算期間と課税所得の計算期間について

 先週は、四日市市から友人夫婦が遊びに来てくれました。

 友人は、半導体技術者、奥様は、バイオリニストです。

 奥様が、九州の電車はかっこいい、特に、この電車がすき!といっていた黒カモメ。

 我が家に来る前日は、黒カモメで大分に行っていたようです。

 自分も黒カモメが大好きで、小倉に行く時は乗車できるとうれしいです。

 

 さて、本題です!

 

★信託における所得の計算期間

 

 信託財産から生じる課税所得については、信託財産を受益者が所有しているものと見做して課税所得の計算がなされますが、今回は、当該課税所得を計算する上での、計算期間について特集します。

 

 実務上、信託契約書に信託の計算期間を定めますが、当該計算期間と課税所得の計算期間は必ずしも一致しません。

 

 所得税基本通達・法人税法基本通達に次のような規定があります。

 

(信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属の時期)

13-2 受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、当該信託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該信託の受益者のその年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入することに留意する。(平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26追加)

 

(信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属の時期)

14-4-2 法人が受益者等課税信託の受益者(法第12条第2項《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》の規定により、同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下14-4-6までにおいて「受益者等」という。)である場合において、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該受益者等である当該法人の収益及び費用とみなされる当該受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、その信託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該法人の各事業年度の期間に対応する収益及び費用となるのであるから、留意する。(平19年課法2-5「八」により追加)

 

 以上の通達より、

 

 信託財産に関する課税所得の計算は、

 

 信託契約上の「信託の計算期間に関わらず」、

 

 ★個人は年で

 ★法人は法人の事業年度で

 

 所得計算を行います。

 

 じゃあ、信託の計算期間て何の意味があるの・・・という気がしますが・・・。

 信託の計算期間は、信託法上の要請で存在するもので、課税計算とは別ということでしょう。

 

★組合契約との違い

 

 組合契約の場合、次のような通達があり、信託とは異なる定めとなっています。

 

(任意組合等の組合員の組合事業に係る利益等の帰属の時期)

36・37共-19の2 任意組合等の組合員の組合事業に係る利益の額又は損失の額は、その年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。

 ただし、組合事業に係る損益を毎年1回以上一定の時期において計算し、かつ、当該組合員への個々の損益の帰属が当該損益発生後1年以内である場合には、当該任意組合等の計算期間を基として計算し、当該計算期間の終了する日の属する年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入するものとする。(平17課個2-39、課資3-11、課審4-220追加)

 

 組合契約関連の通達では「但し書きがあり」

 信託契約関連の通達では「但し書きがありません」ので、ご注意を!

 

執筆:公認会計士・米国公認会計士・税理士 金田充弘