(強制的な株式買取を行う制度ですので、少数株主様に事前の買取申出や事前説明を行われた上で実施することをお勧めしております。)
通常、会社の株式は「株主の合意」がないと買い取りできません。
個人の財産を強制的に取り上げることは通常認められませんので、当然です。
しかし、会社法では株主の合意がなくても、株式を強制的に買い取る方法をいくつか認めています。
前回特集した株式併合もその一つです。
今回は、特定支配株主の株式等売渡請求を取り上げます。
A社という会社をモデルケースに考えます。
A社 株主名簿
発行済株式 1000株
経営者 900株 90%
叔 父 100株 10%
A社では、経営者が90%以上の株式を保有し、実質的に少数株主である叔父には何の主導権もありません。
特別決議も特殊決議も特別特殊決議も、叔父の意見に関係なく「経営者の賛成のみ」で決議が通ります。
会社法では、このような「実質的に経営者(大株主)による支配関係が確立されている会社」については、大株主が少数株主から強制的に株式を買取る権利を認めています。(条件は、議決権の90%以上の保有です。)
今回のモデルでは、経営者90%は、叔父10%から強制的に株を買取ることができます。
結果、少数株主である叔父は強制的に排除されます。
少数株主を排除する必要がある経営陣は検討する価値がある方法です。
(株式は、時価で買い取ることになります。支配株主と少数株主が価格面で折り合えない場合には裁判所による裁定が行われることになります。)
執筆:公認会計士・米国公認会計士・税理士 金田充弘
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