Q:譲渡制限株式を売りたいのですが、売れますか?
A:手続きをふめば売れます!
皆さん、譲渡制限株式をご存知ですか?
株式を売却する際に、会社の承認を要する株式を言います。
「うちの会社は非上場で、譲渡制限株式しか発行していないから、第三者に株が渡ることはない!」
というお話をよく聞きますが、これは、必ずしも正しくありません。
会社法の基本スタンスは、
「株は売れなくてはならない」
「株は現金に替えられなければならない」
という立場で、
基本、手続きを「きちんと踏めば」譲渡制限株式も売却できます。
今回は、譲渡制限株式の売却プロセスを再確認しましょう。
①新旧株主間で売買契約が結ばれる。
②新旧株主が共同して会社に対して譲渡承認請求を行う。
(定款などで所定書式を定めている会社が多い。)
③会社は、株主総会(役会設置会社は取締役会、定款で定めを置く会社は定められた承認権者)
で承認するか否かを決めて、株主に通知する。
(会社法上、2週間以内に通知しなければ、譲渡が承認されたと見做される。)
④株主は、譲渡承認時に「会社が譲渡を承認しないのであれば会社が買取ってくれ」という請求ができる。
⑤会社は40日以内に株主総会(役会設置会社は取締役会)の特別決議で買取するか否かを決定、株主に通知。
(会社法上、40日以内に通知しなければ、譲渡が承認されたと見做される。)
(そもそも、分配可能額(剰余金)がなければ、会社は株式の買取を行えない。)
⑥ ⑤による会社自身による買取に代えて、会社は株主総会(役会設置会社は取締役会)の特別決議で、会社の代わりに株式を買い取る者を指定できる。譲渡承認請求を拒否した日から10日以内に通知が必要。
⑦会社は、買取価格の協議に先立って、売買代金を供託しなければならない。
一株当たり純資産✖譲渡対象株式数に相当する金銭を買取通知日から1週間以内に供託しなければならない。
(1株当たり純資産は、簿価純資産となりますので、供託金は巨額になる場合も・・・)
⑧買取価格を協議
⑨買取の通知後20日以内に裁判所に申し立てすれば「裁判所が売買価格を決定してくれる」
鑑定費用は会社と株主が負担。
⑩20日以内に裁判所への申し立てが行われず、当事者間協議も不調
→1株当たり純資産での買取が確定
このような流れになります。
基本、会社法は「手続きをきちんと行えば、売れる」制度設計となっています。
譲渡制限の限界をきちんと認識した上で、株式の分散防止に努めていただけましたらと存じます。
おって、会社法条文を書き加えていきます。今は、多忙ゆえに許して下さい。
執筆:公認会計士・米国公認会計士・税理士 金田充弘
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